空き家問題が深刻化する日本各地で、一風変わった団地再生プロジェクトが注目を集めています。
築73年、電気・ガス・水道なしの廃団地が、わずか1万円の家賃で満室になったというニュースが話題になりました。
その背景には、斬新なアイデアとDIYブームがあります。
本ブログでは、北九州市門司区にあるこの団地の再生プロジェクトを、空き家管理の視点から詳しく見ていきます。
歴史と現状 70年の使用期限を迎えた団地
この団地は、戦後まもなく供用が開始され、2021年に使用期限の70年を迎えました。
それ以降、入居者の退去に伴い3年間空き家状態となっていました。
敷地へのアクセスは悪くないものの、背後に崖があり、古い石段や崩落した神社が開発の妨げとなっていました。
さらに、期限が迫る中での空室率の増加や、家賃滞納問題も深刻でした。
団地は徐々に人々の関心から遠ざかり、最初の入札では購入希望者が現れませんでした。
転機 スケルトン貸出とDIY支援
転機は、公社が試験的に始めたDIY可能な住戸の提供でした。
リノベーション済みの部屋よりも、手つかずのスケルトン状態の部屋が人気を集めたのです。
この結果を受け、公社は大胆な施策に踏み切ります。
- 部屋をスケルトン状態で貸し出す
- 家賃3年分をDIY資金として支給(主に電気や給排水管の基礎工事に充てられる)
この取り組みにより、住むだけでなく、創る楽しさを味わえる住環境が生まれました。
多様な入居者と文化的拠点化
現在、団地には多種多様なプロジェクトが進行中です。
- モノ作り系:金継ぎ教室、レトロ家具ショップ
- 飲食系:パン屋、カフェ、キッチンスタジオ
- 教育・文化系:私設図書室、音楽室、不動産会社のモデルルーム
- 趣味・テーマ性重視:魔女の館、秘宝館
入居者たちが自主的に作り上げた空間は、団地全体を文化的な拠点へと変貌させています。
課題 ライフラインの未整備
一方で、課題も残っています。ライフライン整備が未完了であり、共用廊下のコンセントから延長ケーブルを引くことで最低限の電気を使用しています。
他のインフラ復旧は未定のままですが、入居者たちはそれぞれDIYで環境改善に取り組んでいます。
空き家管理への示唆
このプロジェクトは、空き家管理に携わる私たちに多くの示唆を与えてくれます。
- 需要の再発見 使用期限が切れた団地でも、新しい価値観を提示することで需要を掘り起こせる。
- 入居者主体のアプローチ DIYを促すことで、入居者が住環境に愛着を持ち、長期的な利用が期待できる。
- 低コスト運用 リノベーションに大規模な予算を割かずとも、工夫次第で再生可能。
今後の展望
この団地再生プロジェクトは、地方の空き家問題解決の一つのモデルケースとなる可能性を秘めています。
入居者たちが創り上げる空間と文化が、周囲の地域にも良い影響を与えることが期待されます。
空き家管理においても、住むだけでなく創造性を発揮できる環境づくりが今後の重要な課題となるでしょう。
ぜひ、皆さんもこのプロジェクトを参考に、新しい空き家活用の可能性を探ってみてください。
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■山下裕二 プロフィール━━━━━━━━━━━━━━
妻と一男(大学2年生・大阪在住)一女(高校3年生)の4人家族。
気が付けば、空き家を管理して20年。
これから空き家を管理するだけではなく、資産として利活用する方法も皆さんと一緒に考えていきたいです。
一般社団法人空き家管理士協会 代表理事
https://www.akiyakanrishi.org/
空き家管理舎パートナーズ 代表
https://www.akiyakanrisha.net/
有限会社 山下建設 代表取締役